【代表コラムVol.1】
インバウンド復活で民泊需要さらにUP。
空き家活用の余地も拡大

 インバウンド絶好調!

日本政府観光局(JNTO)が7月19日に発表した今年上期(1~6月)の訪日客数は、約1,778万人。同期として過去最高だった2019年の1,663万人を上回ったそうです。

それに伴い、民泊の需要も伸びています。観光庁が2か月に一度発表している調査結果によると、直近2024年2~3月期の民泊利用者は、日本人が16.4万人(全体の52%)、外国人が14.8万人(同48%)。その数を前年同期と比べると、日本人が2.5%増なのに対し、外国人は62%以上も増えています。

巻組も宮城県内を中心に民泊可能な物件を数か所運営していますが(注)、最近の利用者の約4割、実に2~3人に1人が外国人の方となっています。すべてが旅行者とは限らないものの、やはり「インバウンド絶好調」の波が感じられます。


 

民泊伸長の主役は意外にも・・・

国籍別の民泊利用客についてのグラフ

<観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について」より巻組作成>

もっとも、同じ観光庁の調査でコロナ前後を比べると、外国人の民泊利用者の数は、まだまだ伸びる余地があると言えそうです。コロナ禍が始まる前年、2019年2~3月期の民泊利用者は日本人が7.4万人(26%)に対して外国人が 20.8万人(74%)でした。

合計で見ると、2024年2~3月が31.2万人、2019年2~3月が28.2万人ですから、民泊利用者の総数は増えていますが、その構成比がかなり変わったことにご注目ください。コロナ以前は、民泊利用者の7割以上が外国人でした。Airbnb(エアビー)などに代表されるバケーションレンタルのサービスを支えていたのはインバウンド需要だったのです。

それがコロナ禍で一転、ほぼゼロに。一時は民泊の総利用者数も激減しましたが、減ったインバウンドの穴を埋めるように2020年後半から盛り返してきたのが、日本人の利用者です。

日本人が増えた理由の一つはおそらく、コロナ禍下でキャンプなどのアウトドアレジャーが流行したように、「密を避ける」行動が広がったからでしょう。みんなが大挙して行く有名な観光地の有名なホテルではなく、いわゆる「穴場」への注目度がアップ。一棟貸しのようなプライベート性の高い宿への需要が伸びたほか、グループや家族連れなど、通常のホテルのツインやダブルでは使いづらさを感じる人たちによって、民泊の良さが見直された面もあると思います。

その結果、「一般の住宅に泊まり、その町に暮らすように滞在する」旅のスタイルが日本人にもかなり浸透しつつあると言えそうです。コロナの3年間を通じて民泊の日本人利用者数はほぼ一貫して上昇し、行動制限がなくなった後も漸増傾向に変わりありません(ただし、こんどは急激な円高のため日本人が海外に行きづらい状況が定着してしまった、という理由もありそうです)。

いま、そこにもともとのメインユーザーだった外国人が戻ってきているわけですから、民泊需要は今後しばらく盤石の状態が続くと考えられます。


地方は民泊でも可能性大

この成長市場に向けて空き家を活用していくことに、巻組はますます可能性を感じています。

たとえば、私たちが民泊も可能なシェアハウスを運営している宮城県の塩釜や東松島。これらの街は外国人はもとより県外でも知名度が高いとは言えません。それでも、安いホテルではなくわざわざ民泊を探して来るお客様は確実にいらっしゃる、というのが私たちの実感です。

そういう方々のなかには、文字通り「暮らすように」長期滞在する方も少なくありません。10泊程度はめずらしくなく、中には連続70泊された外国人の方もいました。誰もが知る有名観光地でなくとも、こうしたゲストが思わぬ地域の魅力を発掘し、発信してくだされば、それが新しい「穴場」づくりにつながります。

地方の非都市部は、民泊市場で見れば相対的に競合の少ない「ブルーオーシャン」であると同時に、民泊施設に転用し得る空き家の「宝庫」でもあります。巻組はこれからも、空き家オーナーと市場ニーズを多様な形でマッチングするサービスを開発・提供していきたいと考えています。


(注)
民泊とは、法規上は「住宅宿泊事業」のことをいい、旅館・ホテル、簡易宿所、下宿を営む「旅館業」とは区別されます。つまり、旅館業の許可を受けていない人が、一軒家やマンションなどの住宅に宿泊料をとって人を宿泊させるのが、狭義の民泊です。旅館業と違い、年間の営業日数に上限がありますが、住居専用地域でも開業できる等のメリットがあります。

ただし、今日の一般的な「民泊」イメージはもっと広く、住宅宿泊事業か旅館業かに関わらず、もと居住用だった建物を宿泊施設に転用しているものを「民泊」と呼ぶ傾向があります。巻組の「民泊」物件も、その特性や立地によって準拠する業法が異なっています。