巻組について

巻組について

M E S S A G E

代表挨拶

巻組が目指す
「次」の暮らしと住まい

石巻で10年考えた、暮らしと住まいの課題

私たちは、宮城県石巻市に拠点をおきながら全国各地で空き家を活用した賃貸経営を行っています。

活動の原点となった石巻市では、2011年の東日本大震災で2.2万戸の家屋が倒壊・流失。震災直後は、被災者の方にとってもボランティア等の移住者にとっても家が足りない状況でした。しかし、2018年の調査によれば、市内の住宅約7万戸のうち1.3万戸が空き家です。震災前と比べて住宅総数は増えているにもかかわらず、空き家率は6%以上も上昇しています。

なぜこうなってしまったのか。

震災後の復興需要で石巻市内には急速に住宅が供給され、その数は約7千戸に上りました。一方で、2011年初に16万人だった市の人口は、2023年現在13.6万人。小さな自治体一つ分くらいの人が減り、残ったのは人が住まなくなった家だったのです。

2015年に巻組を立ち上げた後、私たちはこうした空き家をお持ちの大家さんからたくさんの相談を受けてきました。その中で気づいたのは、空き家を生む理由の根底に家主の高齢化が深く関わっていることです。高齢の家主が施設に入ったり亡くなったりして住む人がいなくなり、離れた場所に住む親族はその家に戻る見込みはない。「なんとかしてほしい」――。そんな話をたくさんいただきました。つまり、必ずしも震災が原因で「家主が市外に移住した」から空き家が増えたわけではないのです。

これは石巻だけの問題なのか。

私たちは、空き家発生の根本には、住宅相続の問題や、人口減少のなか新築住宅の過度な供給が続く不動産・建設業界の産業構造の問題があると気づきました。不動産をめぐる仕組みとそれを取り巻く人々の価値観が変わらない限り、空き家の問題は解決されないのです。

そこで巻組は、そのミッションを「空き家活用を通して石巻という地域を活性化すること」から徐々に拡大。現在も石巻を原点としつつ、「住む人にとって幸福で、社会にとってサステナブルな住まい」の在り方とはどのようなものかをより広い視野で追求すべく、全国多拠点で事業を展開しています。

多様なライフスタイルの受け皿になる

「自由」な住まい

築古で立地や設備面などの条件が悪く、資産性の低い空き家を高齢の大家さんからお預かりしたとして、どんな人が使ってくれるのでしょうか。巻組が最初期に担当したそのような物件は、この先何十年も使うことが想定できないため、リノベーションには最低限の予算しかかけられませんでした。

そんな住まいに集まってくれたのは、

「ものづくりをするので、土間うちの床が欲しい」

「制作物や材料を収納するため壁に釘を打って自分で収納をつくりたい」

「海外と日本を行き来しているので、短期間で契約できるとうれしい」

など、クリエイティブで多様な事情をもった人々でした。

彼らは不便な住環境に文句を言うのではなく、自身の幸福なライフスタイルを実現するために一般的には嫌われるような条件をもポジティブな要素としてとらえます。逆に、一般的な賃貸住宅の原状回復義務や初期費用負担、契約期間の縛りなどがフィットしません。

この経験から私たちは、「住む人にとって幸福で、社会にとってサステナブルな住まい」の実現には「自由さ」こそ大事な要素だと考えるようになりました。つまり、大家側がユーザーのクレームを避けようとして物件の不便さを物質的に完璧に克服しようとするよりも、ユーザーの自由を最大限に尊重する仕組みを用意すること、そして大家とユーザー(住まい手)が共創して環境を整えていくことが最も大切。巻組はそう考えています。

豊かさを実現するのは物質だけではない

そもそも「幸福」とはなにか。心身ともに健やかで幸せであるための条件は人によって大きく異なるものです。コロナショック後、人々のライフスタイルや価値観はさらに大きく変化しました。生活の基盤となる「住まい」においても、多様性を受けとめる自由さ、「余白」の重要性がこれまでになく高まっていると思われます。

一方で、住宅市場の在り方は高度成長期以来、あまり変わっていません。家族形態や働き方のステレオタイプを想定し、最大公約数的なニーズにあわせた一定規格の住宅を量産し、それを消費者であるユーザーに供給する。不動産・建設業界もそれを前提として成長してきました。つまり、住宅を大量供給するため「幸福」の形が画一化され、その価値観が住まい手側に刷り込まれてきた、とも言えるのではないでしょうか。

また、一般的な賃貸住宅市場においては、大家と住人のトラブルを回避するため「責任の所在」が厳しく問われ、住人の希望は物質的に叶えていくことが原則になっています。供給側の責任回避、物質主義的な利便性を突き詰めた結果、供給側の都合が優先され、住人側は環境改善に対して建設的な要望を出すことが難しい。結果、お互いに窮屈で参入障壁も大きい、不自由で不幸な業態になっていると思います。

繰り返しますが、何が心地よく幸せに感じられるかは本来、人それぞれです。多様な「幸せ」を実現するのは必ずしも物質的豊かさではなく、心豊かに生活できるコミュニティや地域社会のほうが大切かもしれない。物理的な意味における住まいは、むしろ「ミニマルかつシンプル」であるべきではないでしょうか。

そんな考えのもと、私たち巻組は、大家と住まい手がお互いにクリエイティビティを発揮しながら、住まい手一人ひとりが自分の幸福を実現できる住宅の在り方を追求しています。

大家と住まい手が知恵を出し合う共創型の賃貸運営

巻組のビジネスモデルは、市場から見放された空き家という、いわば「隙間」にある素材を利用して、基本的に物質主義によらず、シンプルかつミニマルなサービスで住み手に多様で自由なライフスタイルの舞台を提供するものです。そのコンセプトをユーザーにご理解いただきながら拡大・普及を図りたいと考えていますが、そこでカギを握るのが、従来の貸し手・借り手の一方通行的な関係の解消です。

私たちが扱う空き家はどれも「一点もの」で不便な点も多く、ミニマルなサービスを提供しようとするとユーザー側の不満が大きくなりやすい商材です。その不満を物質的に解消しようとすればコストオーバーとなり、コストをかけると家賃単価が上がる。その結果は、お互いにとって持続的なものではありません。そうではなく、貸し手と借り手が垣根を超えて互いの知恵とクリエイティビティを持ち寄り、一緒に課題を解決し、共に心地よい住空間を創り上げていく。そんな「共創型」の賃貸経営こそ巻組が目指すものであり、私たちの強みと言えます。

東日本大震災にコロナショック。ライフスタイルをめぐる価値観が大きく変化しているにも関わらず、いまだ旧態依然の構造が残る不動産業界。今あらためて大きな変革が迫られるなか、巻組は市場から置き去りにされてきた空き家という素材の活用を通して、住まいの在り方を次世代型にアップデートすべく、探求とチャレンジを続けていきます。

株式会社巻組 代表取締役 渡邊享子

C O R P O R A T E P R O F I L E

会社概要

社名 株式会社巻組
創業 2014年4月
設立 2015年3月(2021年5月に合同会社から株式会社へ移行)
代表取締役 渡邊 享子
資本金 16,100,000円
顧問弁護士 札幌北商標法律事務所 川上 大雅
顧問税理士 日野税理士事務所 日野 一義
従業員数 6名
住所 〒986-0822
宮城県石巻市中央2丁目3-14 観慶丸ビル2階
電話 / FAX 0225-24-6919
※お問い合わせはメールにて受け付けております。
メール info@makigumi.com
ウェブサイト https://www.makigumi.org
事業内容 ・賃貸住宅の管理運営(シェアハウス、ゲストハウスの運営等)
・建物の設計施工(リノベーションのコーディネート)
・クリエイティブ人材の育成支援
・地方創生に関するコンサルティング
・実践型インターンシップのコーディネート
免許/登録番号 宅地建物取引業免許 宮城県知事(1)第6907号
住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F02088号
加盟団体 宮城県宅地建物取引業協会