DAOやNFTという最新テックを使って、「山で稼げる」仕組みをつくりたい

株式会社KLC松原圭司さん

巻組との関わり

Roopt神楽坂DAOメンバー(NFT保有者)

■「NFT/DAOを用いた遊休山林の利活用」を考案

私は現在、株式会社KLCという会社に参画し、遊休不動産(山林、農地、別荘地など)に特化した不動産事業に携わっています。

日本全国、特に地方部でいま、放置される不動産が問題になっています。子ども世代に負担をかけないよう終活として不動産の処分を考える高齢者や、相続で不動産を所有することになってしまった40~50代の方々の財産整理も増えていますが、条件の悪い“負動産”にはなかなか引き取り手が見つかりません。私たちはそこにアプローチし、テクノロジーを使って多様な買い手とのマッチング、および自社での引き取りサービスを提供しています。

一歩進んで、そうした土地を私たち自身が利活用してビジネスにできないか?その視点で考案したのが「山林DAO~NFT/DAOを用いた遊休山林利活用」という仕組みです。これは今年8月の日本ブロックチェーン協会主催「Blockchain Bootcamp」で発表し、Gaiax賞を受賞しました。

まだ構想段階ではありますが、事業の概略としては、私たちが引き取った土地を一定程度整備し(雑木伐採など)、その利用権をNFTで販売するというものです。NFT保有者は、自分で山を買わなくても私たちが保有する全国の山林を、たとえばマイクロキャンプ場として使えるようになる。いわば「キャンプ場サブスク」のようなイメージですね。もちろんキャンプというのはわかりやすい一例であり、使い方は無限です。傾斜のある土地ならサバイバルゲームのフィールドになるかもしれないし、接道してない土地なら、逆にヘリコプターでしかたどり着けない秘密の場所としてセレブにアピールするかもしれません。

■Roopt神楽坂DAOに参加して得た学び

ただ、こういう使い方を私たちだけで模索するのは限界があります。山を使って何したいか、もっとたくさんの人に一緒に考えてほしい。それにはNFTとDAOという仕組みが有効なのではないか? DAOコミュニティへの貢献に対するリワードトークン(RT)が、山の利活用を考えるインセンティブとなるのでは? そこから「山林DAO」のアイデアは生まれました。

とはいっても、私がDAOやNFTの勉強を始めたのはつい最近、今年7月頃からです。ちょうどそのとき、ネットで巻組のDAO型シェアハウスRoopt神楽坂のリリースを見つけて、「不動産xDAO」の先進事例として大いに興味を持ちました。さっそくNFTを購入してメンバーになったのですが、実際に参加してみてものすごく勉強になりましたね。RT発行のルールづくりなども含め、何も決まっていない状態からDAOの立ち上げに関われているのが有難いです。ここでの学びがなければ、「山林DAO」構想など到底思いつきませんでした。

私はRooptへの入居は考えていませんが、住まない人でもこうして参加できるのがDAOのいいところじゃないでしょうか。参加の目的はみな違っても、1軒のシェアハウスには物理的に入りきれない人数がコミュニティを通じて関わり合える。いまトレンドのDAOについて学ぶには、実際にトークンを買ってそういうコミュニティのメンバーになるのがいちばん早いと思います。

■「個として生き抜く」から「資本主義と仲良くなる」へ

私自身、京都の大学を卒業後、20代はずっと地方の山奥や海辺で生活していました。自然の中で自給自足し、個として生き抜く力を身につける、というのが自分のテーマだったのです。罠猟やジビエの処理加工・調理を学んで実践し、海では銛付きも習得。20代最後の2019年には100日間の無人島生活も経験しました。

そういう生活の中で感じたのは、やはり「人類、すげえ」ということ。自然の中で一人になればなるほど「個」の弱さを知り、電気や薬など人間の英知に助けられたからです。人類はそういう進化の歴史をたどってきて、到達したいまの社会に自分は生かされている。でも自分はその社会に何も貢献できていないじゃないか。そこで、これまでの経験とこの時代ならではの技術を掛け合わせ、インパクトのあることをしたいと考えて東京へ移住しました。30代のマイテーマは「資本主義と仲良くなる」です。DAOやNFTという最新テックを使ってお金を回し、「山で稼げる」仕組みをつくりたいと思っています。

(2022年9月取材)

▷Roopt神楽坂DAOについて(外部リンク) 

DAOやNFTという最新テックを使って、「山で稼げる」仕組みをつくりたい
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