松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること

一般社団法人 鮎川まちづくり協会佐藤 慶治さん

巻組との関わり

起業家育成プログラム「石巻版松下村塾」に参加

宮城県仙台市出身です。石巻専修大学に通っていました。大学1年生の時に、一般社団法人はまのね代表の亀山さんの講義を聞き、その講義が忘れられず、4年生の時に亀山さんに連絡を取り、1週間インターンをさせてもらいました。その後、復興創生インターンではまのねにさらに1ヶ月インターンし、卒業後にはまのねに就職しました。
はまのねでの仕事を経て、現在は一般社団法人鮎川まちづくり協会で働いています。

亀山さんの紹介で、2019年に松下村塾参加しました。松下村塾に参加する前から、他の起業塾に参加していたので、そちらと同時並行での参加になりました。松下村塾に参加した時から、何をやりたいかははっきりしていたから、それをどのように事業に落とし込むのかを考えました。自分の強みを使って価値を提供する方法を考えました。起業するという目的で見た自分探しをすることができたと思います。

松下村塾での出来事で衝撃的な思い出があります。巻組の渡邊さんに自分のやりたいことを話したら、「それは、佐藤君が勝手に自然を守っていれば良いんじゃないの?」と言われたんです。言われたときは、本当に落ち込んで、考えて、考えて、考えて…考えました。立ち直るのに1か月くらいかかりました。
でもその一言で、自分の持っていた考えが、良い意味で崩され、柔軟に考えられるようになりました。その渡邊さんの質問は、厳しいながらも、核心をつかれる質問でした。言われてみれば、なるほどと思うけれど、言われないとそれまで気が付けなかったんです。「核心をつかれる問いに出会えること」が松下村塾の特徴とも言えるんじゃないかと思っています。その厳しさと向き合う覚悟を持って来た方が良いと思いますが。

松下村塾に参加する前から、自然体験のイベントを開催したいと思っていました。松下村塾では、お客さんはどういうことに惹かれてイベントに参加するのかなどを学び、お客さん目線で考えることができました。メンターの方など色々な方からアドバイスをいただきながら、イベントの内容を詰めていきました。様々なイベント案がありました。しかし、鹿関係のイベントは、鹿の捕獲量が不安定なためイベントにしにくかったんです。最終的に、1年中生えているコケと、いつでも準備可能なキノコを使った、キノコリウムのイベントを実施することにしました。

イベントは、牡鹿半島の山を散策しながら、コケを採集して、オリジナルのコケリウムを制作するものです。自分でコケを取る中で、自然に触れて欲しいという思いがありました。このイベントの最大の目的は牡鹿半島の自然を楽しんでもらうことでした。参加した人には、自然に触れてもらい、自然の中で楽しさを実感してもらい、その中で参加者自ら、環境問題を考えてもらうきっかけにして欲しいという思いがありました。環境問題に取り組みましょうとか、やりなさいと、強制的に行動することを押し付けられても、やるのは難しいし、続かないと思っているんです。実際に自然の中で楽しむ中で、自発的にこの自然を守っていかなきゃと気が付いてもらいたい、そう思っています。だからあえて言わないで、気が付いてもらう工夫をイベントの中に散りばめ、参加者に気づいてもらうようにしました。イベントを終えて、手ごたえを感じています。参加者の方にも満足してもらうことができ、イベントは成功だったと思います。

山だけでなく、海が近く、海と陸の生物を同時に観察することができる牡鹿半島の自然に惚れています。杉の木が広がる場所を抜けた先に広葉樹がある山の景色とかも好きです。スギ花粉とかちょっと嫌だなと思うところもあるけれど、そこも好きです。

里山は人の手を加え続けないと、維持していくことができません。牡鹿半島という、あれだけ広大な里山になれば、尚更、自分ひとりであの自然を守ることはできないと思っています。だから、いろんな人に牡鹿の魅力を知ってもらって、自然や環境に関心を持ってもらい、人が集まる場所にしていきたいと思っています。そうすることで牡鹿の自然を守っていくことができると思うから。


(2020年5月取材)

松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること 松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること 松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること 松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること 松下村塾で熟考した
自分の強みを生かして価値を提供し、
牡鹿半島の自然を守ること