インターンシップのコーディネートを通して見えた
新しい視点とこれからの可能性
ISHINOMAKI2.0理事 合同会社トイデザイン代表社員 斉藤 誠太郎さん
巻組との関わり
巻組が運営する実践型インターンシップ・プログラムのコーディネートを担当
北海道出身です。北海道に住んでいると、東京とか大阪には飛行機で直接向かっていたので、近くに住んでいたのに東北に来たことはなかったです。震災復興支援プロジェクトの右腕プログラムでISHINOMAKI2.0に入ったのがきっかけで石巻に来ました。
大学が神戸で、学生の頃に町の人から阪神淡路大震災の話を聞いていました。話を聞いて、被災地がどんなところかというのが気になっていました。東京で一度働いていた仕事を辞めたタイミングで、次どうしようかと考えていた時に、東北に行くことを決めました。せっかく東北に行くのならば、腰を据えて行きたいと思い、ISHINOMAKI2.0で働くことにしました。そのとき特に何かしたい事とかがなかったから、一番色々なことをしていて、何しているかよく分からない会社に行こうと思ってISHINOMAKI2.0にエントリーしたんです。自分も自分自身が何をしたいのかよく分からない人だったので(笑)。
現在は、ISHINOMAKI2.0で教育事業に関わっています。高校生が地域で学んで、地域で活動して成長できるサポートをしています。それがいしのまき学校です。そして、若手人材の育成の事業も行っています。石巻で働く若手人材を、地域で育てることを地元企業の方々と一緒に考える場を設け、そこで生まれたアイデアをもとに若手社会人を対象にした研修を実施し、地域内で会社の枠を超えて若手人材がつながる「地域同期」のコミュニティをつくっています。
2019年の3月から、巻組の復興創生インターンのコーディネートに関わり始めました。ISHINOMAKI2.0で企業と一緒に高校生を応援する事業や、若手人材育成を担当し、教育系の仕事をしていたのでお手伝いすることになりました。
復興創生インターンのコーディネートに関わることで、今までとは違う切り口で、石巻の企業の方々と関わり、可能性が広がったかなと思います。インターン生が企業に入り込み活動して、そこから見える視点を提供してくれるので、今後その企業さんとどんなことが一緒にできるのかより多角的に考えることができます。
大学生との関りも、インターンシップのコーディネーターとして関わることで、これまでにない関係性がつくれています。この前も、教育に興味がある大学生と一緒に、高校生の進路相談に乗れるオンラインイベントを企画しました。スピーカーと運営で大学生が20人以上協力してくれて、高校生も80人が集まるまあまあ規模の大きい企画になったのですが、大学生が運営準備から高校生を盛り上げることまで、全部うまくやってくれていて。今後インターンシップ以外のことでも大学生と一緒に何かをやっていける手ごたえを感じました。
巻組はソーシャル系とかスタートアップの企業さんをメインで応援し、一緒に頑張っていくような目線にあると思います。それに対して自分は、ソーシャル系の企業も入ってるけれど、地元の企業さんとかにもコミットしていこうという目線でやっています。それぞれを合流させて広いものを作っていってるように感じています。巻組さんと自分の得意とするところを生かしながら、双方向に影響しつつ仕事をしています。今年度からは、巻組とISHINOMAKI2.0、トイデザインの3者コンソーシアムという形で、これまで以上に幅を持たせて色んな可能性に挑戦しながら、インターンシップのコーディネートをしていこうと思っています。
自分は地域の人や企業の皆が、「自分達は若い子たちに何ができるのか」や彼ら彼女らと「何を一緒にしたいのか」を考えて、実行していくことが大事だと思っています。ISHINOMAKI2.0の教育事業を担当して、初めは自分自身で目の前の高校生3人とかの支援をしてました。だけどやっていくなかで、それだけでは広まらないなと思ったんです。自分が何かやりたい子の応援をするのも大事だけれど、むしろ地域でやりたい子を応援するのが当たり前になったらいいなって。石巻がやりたいことをやれる地域になったらいいなと思っています。そして、そういう地域になるために、できることを自分はしていきたいと思っています。
そのために、大学生とか高校生、社会人といった枠にとらわれずに、若い人が石巻で前向きな気持ちになるための場作りをしていきたいかなと思っています。若い人、石巻が地元の若者でも、外から縁あって関わりを持てた若者でも、”こんなことにドキドキ・ワクワクを今してます”とか、”あんなことに可能性を感じて生きています”みたいになってくれたらいいなと思っています。
(2020年4月取材)